NPO法人リトルターン・プロジェクト

東京都大田区昭和島にある都下水道局森ヶ崎水再生センター施設屋上に、東京都、大田区、NPO法人リトルターン・プロジェクトの3者協同で整備している人工営巣地でコアジサシ保護活動を行っています。活動の様子などをご覧ください。記事上の画像、図式などの無断使用をお断りします。

今シーズン森ヶ崎屋上営巣地で行ったチョウゲンボウ対策について

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見守る君 概念図

 昨年までの森ヶ崎屋上営巣地コアジサシ営巣調査で、コアジサシに待望のヒナが誕生しても、そのほとんどはチョウゲンボウに捕食されてしまい、翌週の営巣調査で生後3日目以上の大きなヒナを確認することは、難しくなって来ています。昨年は1,000羽のヒナが産まれて、その中から幼鳥として巣立てたのはわずか3羽でした。
 屋上営巣地で観察をする中で、巣にいる産まれたばかりのコアジサシのヒナをチョウゲンボウがさらって行くのを何度か目撃していました。ヒナが巣の中にじっとしているのは、生後1日~2日のことです。親鳥から小魚をもらって栄養をつけ元気なヒナたちは屋上を自由に歩き回り、自分からシェルターに入ったりして、チョウゲンボウの驚異から自分で逃ると考えています。
 チョウゲンボウは上空でホバリングをして営巣地の巣にいるヒナを見つけて、狙いを定めていると考えられるので、上空からの視界を遮ったらどうだろう?森進一のお袋さんのようにヒナのいる巣に傘をさして守ってあげられないだろうか?というのがそもそもの始まりです。

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見守る君 設計図

 東大で開催された2012年度鳥学会で共著でポスター発表をした「地上営巣性鳥類の巣をカラス類による捕食から防ぐ防護柵(以下まもる君)の開発」で、屋上営巣地で行ったコアジサシ保護のためのまもる君の実験結果を基にどんな形にしようか考えながら、使える物はないかとアマゾンを見ている時に、たまたまプランタースタンドが目に入り、プランタースタンドを台にしてベニヤ板で屋根を作る構造を思いつき、一気に設計図が出来上がりました。

 

 今年のコアジサシ飛来からの営巣調査結果をみながらヒナが産まれるのを楽しみに待ちました。そして初ヒナ誕生後の6月9日の営巣調査の日、森ヶ崎屋上営巣地で見守る君の設置検証実験を始めました。

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ヒナのいる巣に設置中

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見守る君設置状況

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上から見た図

 プランタースタンドをヒナのいる巣が真ん中になるように置いて、上にベニヤ板(防水なのでコンパネを使用)を載せて、風で飛ばないようにレンガと砂利を重しがわりに載せました。上から見ると見事にカモフラージュされて、巣もヒナも見えませんでした。

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見守る君内でヒナを抱く親鳥

 設置後は15分を目安にコアジサシが見守る君の中に入って再びヒナや卵を抱くことや、抱雛・抱卵交代を確認して、両親が見守る君内に入りコアジサシの営巣に影響を与えないことを確認しています。一番早い個体では、設置後の確認のために営巣地の外へ出て振り返るともう入っていました。ちょっと気にする子でも周りを何回か歩くうちに中に入ってヒナを抱いています。コアジサシはどの個体も15分以内に全て中に入りました。15分という時間は以前行ったまもる君実験の経験とヒナへの影響を考慮して決めています。

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生後3日以上の大きなヒナ

 設置後の調査で昨年は確認できなかった大きなヒナを確認したことで、見守る君設置の効果があると直感して設置を続け、数を増やしていきました。

毎週の調査毎に雛が産まれた巣、もしくは産まれそうな巣へ見守る君を移設しました。設置期間は雛が確認された6月9日(日)から雛が居なくなった8月4日(日)までの間で見守る君の設置を行っています。設置数は6月9日に5基、その後追加し最終的には20基設置しました。同じものを付け替えて使いまわしていますので延設置数はかなりの数になると思います。

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プランタースタンドの脚に針金張り状況

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屋根を大きく 30cm□ 45cm□ 大きさ比較

 見守る君設置後しばらく経つとチョウゲンボウに見守る君を見破られたようで、脇に降りてヒナを引っ張り出したり、見守る君の中をヒナをくわえて通り抜ける様子が観察されました。そこで、プランタースタンドの脚に針金を半分の高さに張り渡したり、屋根の大きさを45cm角に変更する改良をくわえました。横線をくわえる改良によりチョウゲンボウの捕食被害は少なくなっています。

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生後約2週間のかなり大きなヒナ

外周通路やシェルター内に幼鳥一歩手前の大きなヒナを確認できて、見守る君設置によって、巣の中のヒナを守ることが出来れば、幼鳥が巣立つと確信しました。

7月7日(日)曇りのち雨

 ヒナが産まれて4週間が経ちそろそろ幼鳥が飛んでいる頃と予想して1ヶ月ぶりの森ヶ崎屋上営巣地に入り、見守る君の増設と移設、脚に針金張り作業を行いました。

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プランタースタンドに針金張状況

 この日の見守る君設置観察で確認できたのですが、縦線を横線と結ぶように針金を張ると一部のコアジサシで入るのを嫌がるようになりました。過去のまもる君設置実験でもそうでしたが、約半数のコアジサシが入らない可能性があります。コアジサシの巣入りの行動パターンが関係しているようです。縦線を張る場合には横線と結ばないように、プランタースタンドの上下の枠を結ぶように張るとどのコアジサシも入るようでした。真ん中に出来る結び目が気になるのか?良く分かりませんが、コアジサシの性格が現れて面白いと思うところです。 

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見守る君内で卵やヒナを抱くコアジサシ

 見守る君を設置するのは、ヒナが 産まれている巣ですが、設置作業をする日に都合よくヒナが産まれているということは少ないので、営巣調査の結果から今後ヒナが産まれそうな巣へも設置しました。見守る君を設置することでカラスの捕食があるのではとご心配かもしれませんが、カラスは新しいものに危険を感じて近寄ることはありません。ただし、今後カラスが見守る君を覚えて慣れた時は、そこにヒナがいて卵があることを教えることになるので、ダミーを置くなどの工夫が必要になると思っています。

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コアジサシの親子

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コアジサシ幼鳥

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生後2週間ほどの大きなヒナ

 昨年は見ることが出来なかったかなり大きなヒナと幼鳥を確認して、見守る君効果ありと判断しましたが、見守る君がチョウゲンボウからヒナを守ったという直接的な証拠は得ていません。見守る君を設置することによって昨年は1,000羽のヒナから3羽の幼鳥巣立ちでしたが、今年は400羽のヒナから15羽の幼鳥が巣立っています。その数字が全てとの思いから今年の鳥学会に参加して、森ヶ崎屋上営巣地で行ったチョウゲンボウ対策についてポスター発表という形でご報告させていただきました。

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鳥学会ポスター発表

 お出でいただいた皆さまから貴重なご意見、アドバイスを頂戴いたしました。今後は見守る君効果ありの確証を得られるように森ヶ崎屋上営巣地に於いて、見守る君設置検証実験を続けて行く所存です。どうぞよろしくお願いいたします。

 他のコアジサシ営巣地に於いて見守る君を試してみたいとお思いの方は、ぜひ設置してみてください。そしてその時の状況などご報告いただけましたら、この上ない喜びとなります。また見守る君についてご質問等あります時はどうぞコメントやメールにてお問い合わせ願います。

 質問受付メールアドレス:hogoseibi@littletern.net

なお現在デコイ回収作業申し込みに対する自動応答設定になっていますが、返信メールを別途送らせていただきます。よろしくお願いいたします。 

 

鳥学会2019年度大会 帝京科学大学千住キャンパス

ポスター発表 P021 対チョウゲンボウコアジサシ巣内雛保護シェルターの開発『見守る君』の効果について

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鳥学会発表ポスター

 見守る君設置検証実験を行わせていただきました森ヶ崎水再生センターさま、設置検証実験にご協力をいただきましたすべての皆さまに改めて御礼申し上げます。
鳥学会ポスター発表にあたりましては共著にお入りいただいた奴賀さん、北村代表にご指導を賜りました。ご協力に感謝いたします。ありがとうございました。

屋上営巣地の現場で見守る君設置作業及び観察をお手伝いいただいた橋本さんに多大なるご協力をいただきました。改めて感謝申し上げます。お疲れ様でした。ありがとうございました。

NPO法人リトルターン・プロジェクト

保護整備部会 松村雅行

 

 

 



 

 

 

日本鳥学会2019年度大会に参加して来ました。

9月13日(金)~16日(月)の間で、帝京科学大学7号館に於いて開催された

日本鳥学会2019年度大会 に参加して来ました。

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帝京科学大学7号館

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今年の森ヶ崎屋上営巣地で保護整備部会が捕食者対策として実験を行った「見守る君」(対チョウゲンボウコアジサシ巣内雛保護シェルター)についてポスター発表をして来ました。

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5階アリーナ ポスター発表会場

今回はコアジサシについて6テーマの発表がありどれも気になるよい発表でした。

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会場内は熱気にあふれ、お越しいただいた皆さまから貴重なご意見をいただき、大変有意義な時間を過ごすことができました。

保護整備部会&調査研究部会

ハクビシンと台風



 皆様

 

先日の台風15号では、森ヶ崎水再生センター屋上営巣地でも大きな影響を受けていました。

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下段営巣地

下段営巣地はまるで大きな池のように、水深は膝下位までとかなりの深さでした。

千葉県内などで大きな被害があり、今なお不自由な生活を強いられている地域があります。一日も早い復旧を願わずにはいられません。

 

デコイも風で飛ばされて営巣地内に散乱していました。

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強風で飛ばされてしまったデコイ

9月29日にデコイ回収作業を予定しています。

台風で飛ばされてしまったデコイの回収と洗浄、破損しているデコイの選別をします。

皆様のご参加をお待ちしております。
詳しくは下記の記事をご覧ください。

littletern.hatenablog.com

 

今年は6月の時点で動物の侵入が疑われていました。

ハクビシンらしいということで、大田区の制度を利用して箱罠を仕掛けています。

近くにセンサーカメラを設置して確認したところ、ハクビシンの姿が撮れていました。

 

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箱罠を警戒しているハクビシン

まだ捕獲は出来ません。

果実を好んで食べるとありますが、鳥、鳥の卵も食べるそうです。

駆除業者の方も雑食と話していました。

 

Wikipediaより抜粋

ハクビシン白鼻芯Paguma larvataは、食肉目ジャコウネコ科ハクビシン属に分類される食肉類。本種のみでハクビシン属を構成する[3]。その名の通り、額から鼻にかけて白い線があることが特徴である。

日本に生息する唯一のジャコウネコ科の哺乳類で、外来種と考えられている。

食性は雑食で、イチジク類・カキ・ナシ・バナナ・マンゴー・ミカンなどの果実、小動物、昆虫などを食べる植物食中心の雑食性で、果実、種子、小動物、鳥のなどを食べる。中でも果実を好む。

 

みんな生きる為に何か食べます。

 

百貫鰺刺

デコイ回収作業をお手伝いいただけませんか

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台風で飛ばされてしまったデコイ


皆さま

お世話になります。
今年の森ヶ崎屋上営巣地のコアジサシのシーズンが終わりました。
今年もカラス、アオダイショウ、チョウゲンボウ、ハヤブサ、ハクビシンと捕食者が多くかなり厳しい状況でした。

先日の台風でデコイが営巣地内を飛ばされてしまっています。
コアジサシのシーズンが終わりましたので、秋のイベントに向けて保護整備部会今年度最後のイベントを開催します。
 

11月2・3日のJBFでの色塗り体験作業に向けて、かしわ環境ステーション様で補修作業を行ってくださいます。
そのために、9月中に回収し、補修が必要なデコイをかしわ環境ステーション様に送ります。
そこでデコイたちを営巣地から回収、清掃し片付ける作業を行います。

 

お手伝いをしてくださる皆さまを募集いたします。

・日程

9月29日(日)9:30 集合 小雨決行

 

・対象

小学5年生以上(中学生未満は親御さんの同伴が必要です。)

・集合場所

東京モノレール昭和島駅東口(森ヶ崎水再生センター職員通用口内)

・作業時間

9:45頃〜15:00頃予定

・作業内容

営巣地内に設置してあるデコイを回収して、水洗いをしてよく乾燥させます。
乾いたところで使えるものと補修が必要なものを分別します。
使えるものを1箱に50体づつ収納して観察小屋に片付けます。
壊れたものも数を確認して箱詰めします。

・持ち物、服装
お弁当、飲み物、汚れてもよい服装(着替える場所はあります。)
近くにコンビニ等ありませんのでお弁当をお忘れなく。

 

ご協力いただける方は, hogoseibi@littletern.net 宛に、
氏名、年齢、連絡先電話番号をご記入の上メールでお申し込みください。

 

森ヶ崎屋上営巣地ラストイベントになります。

皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

何卒よろしくお願いいたします。

*作業の性質上強い雨天の場合は中止になります。

作業中止の場合には前日の午後8時までにブログにアップいたします。

 

11月2日、3日のジャパンバードフェスティバルでデコイの色塗り作業が行われます。

お時間おありでしたらこちらへもぜひお出掛けください。

 

保護整備部会

2019年 営巣調査結果まとめ

みなさま

 

遅くなりましたが、2019年の営巣調査結果のまとめです。

全15回の営巣調査(2回の中止含む)で、LTPスタッフ含め、のべ168名の方に調査に参加していただきました。暑かったり、雨だったりした中、ご協力ありがとうございました。

初めて参加の方には3回の調査参加をお願いしていますが、中止などで3回参加出来なかった方は、残りはぜひ来年の調査に参加していただければと思います。

今年のコアジサシの営巣調査結果を図表にしました。

 

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2019年営巣調査結果グラフ

 

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2019年営巣調査結果表


昨年同様、営巣初期の5/8にカラスに卵を捕食されてしまいましたが、5/11に成鳥20羽、22巣を確認し、順調に成鳥数、巣数は増加し、5/26に成鳥200羽、営巣数406巣になり、6/9にはヒナ12羽を確認しました。

ヒナが生まれると、チョウゲンボウがヒナを捕食するために頻繁に出現するようになります。今年も最低でも2羽のチョウゲンボウがヒナを捕食しており、ヒナの数は増えません。成鳥も6月中に急激に減少し始めてしまいました。

しかし、7月に入ると成鳥が再び増えました。おそらく、梅雨の悪天候等で他の場所で営巣失敗した群れが、森ヶ崎で再び営巣しようとやってきたのではないかと思います。

成鳥数、営巣数は再び増えましたが、やはり捕食者による影響が大きく、ヒナの数は多くはありません。かつてカラス除けに効果があった「いやがらす」を再び投入するも、ヒナだけではなく、卵の消失も多いようだったので、チョウゲンボウ、カラス類の他に、ネコやハクビシンの侵入の可能性も考えられました。結局、飛翔可能な幼鳥の同時確認は最大8羽でした。

実は、営巣調査が終了し、8月に入っても成鳥が数羽、森ヶ崎で確認されていました。近づくと、モビングもしてきます。状況から考えると、ヒナがいるような行動が見られていましたが、8/29に親鳥1羽と幼鳥1羽を確認しました。ひっそりと最後の親子が森ヶ崎で暮らしていたようです。幼鳥はすでに飛翔可能だったので、その後、森ヶ崎から旅立ったようで、8/31には見られなくなっていました。

結果、2019年は、
総営巣数:753巣
推定ふ化数:約400羽
無事に巣立った幼鳥:約15羽
ではないかと推定しています。

 

これまでの総営巣数、推定ふ化数の経年変化を以下に示します。

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経年変化

近年は総営巣数と同じくらいふ化数があったのですが、今年は下回りました。これは、捕食者の影響だけでなく、荒天による営巣調査中止が何度かあったため、詳しいデータが取れなかったことも理由にあるかもしれません。

しかし、実際調査している感覚では、やはりヒナが少ないと感じました。森ヶ崎のように、毎年同じ場所で営巣していると、捕食者が集まってきてしまうと思います。そういう場所では、捕食者対策をうまくできるかが、繁殖成功のカギになると思います。今年試作したチョウゲンボウ対策シェルターを改良し、来年は少しでも捕食者から守れればと思います。
チョウゲンボウ対策シェルターについては、9/13-16に帝京科学大学で行われる日本鳥学会で9/14にポスター発表予定です!)

 

また、東京湾周辺で、コアジサシがある程度の個体数で営巣できる場所が、森ヶ崎以外にも複数存在し、捕食者が集まるリスクを減少させることができることができれば良いと考えています。

東京港野鳥公園に新しく出来た砂礫地や、ラムサール条約登録湿地になった葛西海浜公園などでもコアジサシの誘致や保全活動が行われているので、コアジサシが定期的にうまく繁殖できるようになってくれれば、うれしいです。


 調査研究部会

検見川浜コアジサシ保護区 今年度のご報告

皆さま、ご存知でしょうか? 千葉市の鳥はコアジサシです。

千葉市では毎年、美浜区磯辺2丁目にある検見川浜人工海浜コアジサシ保護区を設置しています。

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グーグルマップより

検見川浜での今年の活動状況とコアジサシ営巣状況などをご報告させていただきます。

 

3月19日(火) コアジサシ保護区予定地内草むしり作業

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コアジサシのために保護区内の裸地部分を作り出す重要な作業

千葉市環境保全課の皆さまと深い根っこを取り除きながら汗をかきました。

 

4月17日(水) コアジサシ保護区設置作業と草むしり

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検見川浜コアジサシ保護区

砂浜に鉄杭を打ち込みロープを張って立ち入り制限をしコアジサシ保護区を設定しています。

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コアジサシ保護区には理解を求める看板を設置しています。

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稲毛の浜側保護区角から幕張側を望む

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草むしり作業状況

千葉市環境保全課の皆さまと箕輪さん、ボランティア参加の皆さんと、コアジサシの好きな高台の草むしりを行いました。スコップを使って根っこを掘り起こすのですが、縦横無尽に根が張り大変な作業でした。

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保護区一番乗りはコチドリでした。

設置作業を終えて人が居なくなった保護区内に2羽のコチドリがかわるがわるやって来て営巣場所としてよいか考えているようでした。

 

5月12日(日) コアジサシ飛来 巣穴掘り行動確認

6羽飛来、4羽保護区内に降りて巣穴掘り行動をしていた。と箕輪さんから連絡をいただいた。

 

5月13日(月) シロチドリ交尾、巣穴掘り確認

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検見川浜コアジサシ保護区 全景

情報をいただいていたのですが、残念ながらコアジサシの営巣は確認できず。

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2羽のコアジサシが時折上空を通過するのみ、まだ営巣地として決めかねているのか?

ところが、保護区を見続けていると

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幕張側から2羽のシロチドリが走ってやって来てそのまま保護区内に入り、なんと

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交尾をして巣穴掘りをしました。オスメス交互に巣穴に入りどうやらここで営巣をすることを決めたようでした。シロチドリはコアジサシの営巣地内で良く繁殖をしていて、コアジサシのモビング行動によってカラスから守ってもらえることを知っているようです。前日のコアジサシの行動をどこかで見ていて、ここをコアジサシの繁殖地だと思ったのかもしれません。

 

5月25日(土)保護区確認 シロチドリ抱卵中

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抱卵中のメス

シロチドリは、日中はメスが抱卵をしてオスは夜間に抱卵をすることが多いのですが、昼間でも抱卵を交代することがあります。この日も近くの砂浜にオスがいました。

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シロチドリ オス

シロチドリの営巣は思ったところに確認できましたが、コアジサシの姿を見ることはできませんでした。

 

6月2日(日) コアジサシ営巣確認

箕輪さんからコアジサシ2卵での営巣を確認!といううれしい連絡をいただきました。

シロチドリは3卵で抱卵中

 

6月3日(月) コアジサシ3卵確認 いやがらす煌き設置

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巣内に3卵確認

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検見川浜で抱卵中のコアジサシカップ

3卵での営巣、抱卵を確認したので、森ヶ崎屋上営巣地でカラス除けに効果を発揮した「いやがらす煌き」を千葉市と箕輪さんと協議して検見川浜に設置させていただきました。

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コアジサシ保護区内に設置した「いやがらす煌き」

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いやがらす煌きのそばで抱卵中のコアジサシ

設置後の抱卵確認、雌雄での抱卵交代を確認しています。森ヶ崎屋上にコアジサシ天国を創り出した「いやがらす煌き」、検見川浜でも同様の結果が見られるだろうと一人、保護区の脇で喜んでいました。

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ハシブトガラスにモビング

このカップルのメスは非常に気が強いと思われ、侵入してくるハシボソガラスに猛烈にアタックして追い出そうとしていました。これを見た時にヒナが産まれ幼鳥が巣立つと確信出来ました。

リード無しで犬の散歩をして保護区内に犬が入り込んでいたのを目撃していたので、千葉市にお願いして注意喚起の看板を設置していただきました。

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6月6日(木) コチドリ ヒナ確認

検見川浜コアジサシ保護区内で最初に営巣したと思われるコチドリに3羽のヒナが産まれていて初めて姿を確認することが出来ました。

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草の影に隠れた親のお腹の下にヒナの姿

6月23日(日) コアジサシヒナ誕生と営巣数増加

ヒナが2羽孵ったと箕輪さんからビックニュース!!!しかも新規5巣確認と成鳥15羽以上!とのこと、検見川浜でのコアジサシヒナ誕生は4年ぶり、いやがらす煌きの効果は間違いありませんでした。

 

6月25日(火) コアジサシヒナ確認

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少し大きくなったコアジサシのヒナ

コアジサシ保護区へヒナの確認に行くと巣から離れた草地の中に仲良くいました。

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夏の日差しからヒナを守る親鳥

最初に営巣したコアジサシ2羽で懸命に子育て中でした。

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抱卵中のコアジサシ

5巣のコアジサシ抱卵を確認しました。

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求愛給餌

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交尾態勢のコアジサシ

求愛給餌や交尾のコアジサシも目撃し営巣数はまだ少し増えそうな感じでした。

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波打ち際のコアジサシ

繁殖をしているコアジサシとは別に、15羽ほどの群れが波打ち際で休んでいました。何処かで繁殖に失敗したグループが検見川浜を塒として利用しているようでした。

この日コアジサシの営巣場所が変わり営巣数も増えたので、営巣場所を考慮して、いやがらす煌きを移設し、1基追加設置しました。

ヒナが産まれてよいはずのシロチドリはいまだ抱卵中、コチドリの幼鳥3羽を確認しました。

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コチドリ幼鳥

新規で営巣の追加がありそうな予感だけど、設置したいやがらすで全て守ってあげられそうでした。

 

6月26日(水) 保護柵移設

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保護柵移設状況

新しく出来た巣が保護柵に近いため、保護柵脇に人が立つと営巣に影響を与えるため、千葉市と箕輪さんと協議、協力して、少しでも巣が人から離れるように保護柵を海岸線側に少し広げました。

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少し広くなった保護区

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2基のいやがらす煌きと抱卵するコアジサシ

これで、ほっといてもヒナが産まれると一安心。

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波打ち際の非繁殖個体

波打ち際で休むコアジサシの数がさらに増えていました。森ヶ崎屋上で繁殖に失敗した子も混じってそうです。

 

7月11日(木) 幼鳥確認

ヒナが産まれて約3週間そろそろ幼鳥が飛ぶころと検見川浜に確認に行きました。
保護区内には見当たらず、あれっまだかなと波打ち際に目を移すと

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親鳥と一緒に幼鳥2羽

やっぱり幼鳥が2羽いて、親鳥と一緒に波の上を飛ぶ姿を確認出来ました。
兄弟なんだけど白と茶色で面白いですよね。
幼鳥を見つけたので、今度は営巣地内をよく見ると6巣のうちの3巣でヒナが孵っていました。

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可愛い親子

2羽づつで6羽のヒナを確認できました。少し大きな子もいたので、3日前くらいからヒナが産まれたようです。残りの3巣からもここ数日で産まれるものと思われました。

 

7月27日(土)幼鳥確認

検見川浜のコアジサシを見に行かれたお友達からヒナが少ないと聞いたので、そろそろ幼鳥になっている頃だし、実際ヒナの数はどうなんだろうと確認に出かけた。

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保護区内の幼鳥

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もうすぐ幼鳥のヒナ

結局、幼鳥2羽と幼鳥一歩手前のかなり大きなヒナを6羽まで確認することが出来ました。大きなヒナはみんな草にまぎれて隠れているので、もう少しいると感じさせました。

いやがらす煌きの効果でほぼカラスの侵入がないので、このまま8羽の幼鳥が巣立つと思われた。

観察中に気になったのはウミネコが何回か侵入を繰り返しそのたびにコアジサシがモビングをしていたことだ。ひょっとするとヒナをウミネコにやられたかもしれません。

8月中はなかなか時間がとれず検見川浜までコアジサシの状況確認に行くことが出来ませんでした。

千葉市のホームページによると8月20日頃に幼鳥8羽が巣立ち旅立って行ったということです。

千葉市ホームページをご参照ください。

www.city.chiba.jp

 

9月4日(水) 検見川浜コアジサシ保護区設定解除

コアジサシが旅立ち静かになった検見川浜

千葉市職員に皆さま、箕輪さん、ボランティア参加者の皆さんと保護区の片付け作業と営巣地内のごみ拾い作業を行いました。

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看板、鉄杭、ロープ等撤去状況

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看板、鉄杭、ロープ等片付け

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元通り静かな検見川浜

検見川浜の夏が終わりました。

また来年コアジサシが帰ってくることを信じて待ちたいと思っています。

今シーズンの検見川浜営巣状況

コチドリ 1巣 幼鳥3羽巣立ち

シロチドリ 1巣 3卵で抱卵するも孵化には至らず

コアジサシ13巣 うち5巣は放棄、営巣初期に2卵での放棄があった。

8巣からヒナが孵化したが、大きく育ったのは11羽、うち1羽は落鳥し幼鳥として巣立てたのは10羽。

検見川浜から幼鳥が巣立ったのは4年ぶり、10羽以上の巣立ちはさらに前のこと。

営巣状況データは、毎週調査を行ってくださっていた箕輪義隆さんからご提供いただきました。

保護区内では他にヒバリが1巣営巣して巣立ちを迎えた模様

ご協力いただきました千葉市環境保全課の皆さま、箕輪さま、ボランティア参加の皆さま

大変お世話になりました。ありがとうございました。

また、来年もよろしくお願いいたします。

 

NPO法人リトルターン・プロジェクト

千葉県支部 松村雅行

 

 





 

 

 

 

 

 

ハクビシン対策

皆様

 

森ヶ崎水再生センター屋上営巣地にハクビシンが侵入している様です。

 

6月9日に屋上営巣地入り口の扉手前に見慣れない動物のフンがありました。

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動物関係に詳しい方に聞いたところ、ハクビシンではないかとの事でした。

 

その後7月21日に営巣地内でも乾燥したフンを確認。

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大田区の制度を利用してハクビシン捕獲を試みています。

大田区環境対策課

www.city.ota.tokyo.jp

 

捕獲業者の方に糞を確認していただいたところ、ハクビシンで間違いないということでした。また、ハクビシンは主に果実食ですが、ヒナも卵もあれば食べるとのお話でした。

 

捕獲用のカゴを2か所に設置しました

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捕獲の確認に営巣地に行きましたが、その際にも新しいフンがありました

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コアジサシの繁殖シーズンは終わりましたが、対策を継続して行います。

今年度はカラス、チョウゲンボウハヤブサ、アオダイショウ、ハクビシンと捕食者が多く侵入して来ました。

営巣に多大な影響があったと思います。

来年に向けて今から対策を行う事が絶対条件です。

 

保護整備部