千葉市では毎年、美浜区磯辺2丁目にある検見川浜人工海浜にコアジサシ保護区を設置しています。
検見川浜での今年の活動状況とコアジサシ営巣状況などをご報告させていただきます。
3月19日(火) コアジサシ保護区予定地内草むしり作業
コアジサシのために保護区内の裸地部分を作り出す重要な作業
千葉市環境保全課の皆さまと深い根っこを取り除きながら汗をかきました。
4月17日(水) コアジサシ保護区設置作業と草むしり
砂浜に鉄杭を打ち込みロープを張って立ち入り制限をしコアジサシ保護区を設定しています。
コアジサシ保護区には理解を求める看板を設置しています。
千葉市環境保全課の皆さまと箕輪さん、ボランティア参加の皆さんと、コアジサシの好きな高台の草むしりを行いました。スコップを使って根っこを掘り起こすのですが、縦横無尽に根が張り大変な作業でした。
設置作業を終えて人が居なくなった保護区内に2羽のコチドリがかわるがわるやって来て営巣場所としてよいか考えているようでした。
5月12日(日) コアジサシ飛来 巣穴掘り行動確認
6羽飛来、4羽保護区内に降りて巣穴掘り行動をしていた。と箕輪さんから連絡をいただいた。
5月13日(月) シロチドリ交尾、巣穴掘り確認
情報をいただいていたのですが、残念ながらコアジサシの営巣は確認できず。
2羽のコアジサシが時折上空を通過するのみ、まだ営巣地として決めかねているのか?
ところが、保護区を見続けていると
幕張側から2羽のシロチドリが走ってやって来てそのまま保護区内に入り、なんと
交尾をして巣穴掘りをしました。オスメス交互に巣穴に入りどうやらここで営巣をすることを決めたようでした。シロチドリはコアジサシの営巣地内で良く繁殖をしていて、コアジサシのモビング行動によってカラスから守ってもらえることを知っているようです。前日のコアジサシの行動をどこかで見ていて、ここをコアジサシの繁殖地だと思ったのかもしれません。
5月25日(土)保護区確認 シロチドリ抱卵中
シロチドリは、日中はメスが抱卵をしてオスは夜間に抱卵をすることが多いのですが、昼間でも抱卵を交代することがあります。この日も近くの砂浜にオスがいました。
シロチドリの営巣は思ったところに確認できましたが、コアジサシの姿を見ることはできませんでした。
6月2日(日) コアジサシ営巣確認
箕輪さんからコアジサシ2卵での営巣を確認!といううれしい連絡をいただきました。
シロチドリは3卵で抱卵中
6月3日(月) コアジサシ3卵確認 いやがらす煌き設置
3卵での営巣、抱卵を確認したので、森ヶ崎屋上営巣地でカラス除けに効果を発揮した「いやがらす煌き」を千葉市と箕輪さんと協議して検見川浜に設置させていただきました。
設置後の抱卵確認、雌雄での抱卵交代を確認しています。森ヶ崎屋上にコアジサシ天国を創り出した「いやがらす煌き」、検見川浜でも同様の結果が見られるだろうと一人、保護区の脇で喜んでいました。
このカップルのメスは非常に気が強いと思われ、侵入してくるハシボソガラスに猛烈にアタックして追い出そうとしていました。これを見た時にヒナが産まれ幼鳥が巣立つと確信出来ました。
リード無しで犬の散歩をして保護区内に犬が入り込んでいたのを目撃していたので、千葉市にお願いして注意喚起の看板を設置していただきました。
6月6日(木) コチドリ ヒナ確認
検見川浜コアジサシ保護区内で最初に営巣したと思われるコチドリに3羽のヒナが産まれていて初めて姿を確認することが出来ました。
6月23日(日) コアジサシヒナ誕生と営巣数増加
ヒナが2羽孵ったと箕輪さんからビックニュース!!!しかも新規5巣確認と成鳥15羽以上!とのこと、検見川浜でのコアジサシヒナ誕生は4年ぶり、いやがらす煌きの効果は間違いありませんでした。
6月25日(火) コアジサシヒナ確認
コアジサシ保護区へヒナの確認に行くと巣から離れた草地の中に仲良くいました。
最初に営巣したコアジサシ2羽で懸命に子育て中でした。
5巣のコアジサシ抱卵を確認しました。
求愛給餌や交尾のコアジサシも目撃し営巣数はまだ少し増えそうな感じでした。
繁殖をしているコアジサシとは別に、15羽ほどの群れが波打ち際で休んでいました。何処かで繁殖に失敗したグループが検見川浜を塒として利用しているようでした。
この日コアジサシの営巣場所が変わり営巣数も増えたので、営巣場所を考慮して、いやがらす煌きを移設し、1基追加設置しました。
ヒナが産まれてよいはずのシロチドリはいまだ抱卵中、コチドリの幼鳥3羽を確認しました。
新規で営巣の追加がありそうな予感だけど、設置したいやがらすで全て守ってあげられそうでした。
6月26日(水) 保護柵移設
新しく出来た巣が保護柵に近いため、保護柵脇に人が立つと営巣に影響を与えるため、千葉市と箕輪さんと協議、協力して、少しでも巣が人から離れるように保護柵を海岸線側に少し広げました。
これで、ほっといてもヒナが産まれると一安心。
波打ち際で休むコアジサシの数がさらに増えていました。森ヶ崎屋上で繁殖に失敗した子も混じってそうです。
7月11日(木) 幼鳥確認
ヒナが産まれて約3週間そろそろ幼鳥が飛ぶころと検見川浜に確認に行きました。
保護区内には見当たらず、あれっまだかなと波打ち際に目を移すと
やっぱり幼鳥が2羽いて、親鳥と一緒に波の上を飛ぶ姿を確認出来ました。
兄弟なんだけど白と茶色で面白いですよね。
幼鳥を見つけたので、今度は営巣地内をよく見ると6巣のうちの3巣でヒナが孵っていました。
2羽づつで6羽のヒナを確認できました。少し大きな子もいたので、3日前くらいからヒナが産まれたようです。残りの3巣からもここ数日で産まれるものと思われました。
7月27日(土)幼鳥確認
検見川浜のコアジサシを見に行かれたお友達からヒナが少ないと聞いたので、そろそろ幼鳥になっている頃だし、実際ヒナの数はどうなんだろうと確認に出かけた。
結局、幼鳥2羽と幼鳥一歩手前のかなり大きなヒナを6羽まで確認することが出来ました。大きなヒナはみんな草にまぎれて隠れているので、もう少しいると感じさせました。
いやがらす煌きの効果でほぼカラスの侵入がないので、このまま8羽の幼鳥が巣立つと思われた。
観察中に気になったのはウミネコが何回か侵入を繰り返しそのたびにコアジサシがモビングをしていたことだ。ひょっとするとヒナをウミネコにやられたかもしれません。
8月中はなかなか時間がとれず検見川浜までコアジサシの状況確認に行くことが出来ませんでした。
千葉市のホームページによると8月20日頃に幼鳥8羽が巣立ち旅立って行ったということです。
千葉市ホームページをご参照ください。
9月4日(水) 検見川浜コアジサシ保護区設定解除
コアジサシが旅立ち静かになった検見川浜
千葉市職員に皆さま、箕輪さん、ボランティア参加者の皆さんと保護区の片付け作業と営巣地内のごみ拾い作業を行いました。
検見川浜の夏が終わりました。
また来年コアジサシが帰ってくることを信じて待ちたいと思っています。
今シーズンの検見川浜営巣状況
コチドリ 1巣 幼鳥3羽巣立ち
シロチドリ 1巣 3卵で抱卵するも孵化には至らず
コアジサシ13巣 うち5巣は放棄、営巣初期に2卵での放棄があった。
8巣からヒナが孵化したが、大きく育ったのは11羽、うち1羽は落鳥し幼鳥として巣立てたのは10羽。
検見川浜から幼鳥が巣立ったのは4年ぶり、10羽以上の巣立ちはさらに前のこと。
営巣状況データは、毎週調査を行ってくださっていた箕輪義隆さんからご提供いただきました。
保護区内では他にヒバリが1巣営巣して巣立ちを迎えた模様
ご協力いただきました千葉市環境保全課の皆さま、箕輪さま、ボランティア参加の皆さま
大変お世話になりました。ありがとうございました。
また、来年もよろしくお願いいたします。
NPO法人リトルターン・プロジェクト
千葉県支部 松村雅行