NPO法人リトルターン・プロジェクト

東京都大田区昭和島にある都下水道局森ヶ崎水再生センター施設屋上に、東京都、大田区、NPO法人リトルターン・プロジェクトの3者協同で整備している人工営巣地でコアジサシ保護活動を行っています。活動の様子などをご覧ください。記事上の画像、図式などの無断使用をお断りします。

今年の屋上営巣地整備作業の検証について

皆さま
早いもので今年もあと10日になってしまいましたね。
報告会も終わったので少し息抜きをしていました。
ブログの更新が遅れましたことお詫びいたします。
さて来年3月に春の屋上営巣地整備作業を予定していますが、
今年行った営巣地整備作業の結果はどうだったのか?
気になられているかと思いますので、検証結果をご報告いたします。


屋上営巣地環境改善作業として


・通路・排水口の清掃作業を行いました。



その結果として、雨天時などに滞水することなく雨水を流していましたので、
清掃作業はやはり重要な作業だと考えます。
ただし雨のたびに少しづつゴミが流れつき、排水口をふさいでいきますので、
排水口については定期的な清掃作業が必要だと思っています。
ただコアジサシの営巣中の作業は最低限に抑える必要があります。


・水場周りの除草作業を行いました。



当初、草の繁茂がコアジサシの利用に影響を与えると考えていましたが、
実際には草が伸びてからも同じようにコアジサシは利用していましたので、
水場周りの草は、水場を利用したほかの鳥、イソシギ等にとって隠れ場所にもなっていたので、
草はある程度生えていたほうがよいと思っています。
カルガモも頻繁に水場に出入りしていましたが、
水場周りの草地が増えれば、今後は営巣も想定されます。
また、多くの水生昆虫のためにも、草はあったほうがよさそうなことが分かってきています。


コアジサシを守るための作業として


・カラス除けの水糸補修作業を行いました。



この作業がなぜ必要なのかをご説明するのによい写真があります。



2005年に水糸を張る前の状況です。
カラスにコアジサシの営巣場所であることが知れ渡り、
悲しいかな屋上営巣地がカラスのレストランと化した時の写真です。
行列して並んだカラスが次から次とコアジサシの卵を・・・
こんな悲しいことが2度と起きないように水糸を張っています。
最近は鳥除け専用の糸を使っているので、補修個所は少なくなってきています。
また来年は糸を張っているところに、いやがらす連の設置を予定しています。
そのため、いやがらす設置予定個所以外での補修作業をお願いいたします。
整備作業時にはいやがらす設置場所の表示をしておきます。
・レンガシェルターの増設作業を行いました。



近隣でのチョウゲンボウの繁殖が失敗しているので、単純には比較できませんが、
2,200羽生まれたヒナの5割の1,100羽が幼鳥として巣立ったと考えられるので、有効だったと考えています。
ただ、1区画の中にパイプシェルター1基とレンガシェルター3基あるので、
これ以上の増設は必要ないと思っています。
シェルターだらけになって営巣場所が無くなっても困りますしね。
・増水時のために外周通路部分に大きなシェルターを作りました。



幸い今シーズンはゲリラ豪雨に襲われることがなかったのですが、



営巣調査時にシェルターに上っているヒナを多く目撃しているので、
増水時にもヒナが上に乗ることが予想され有効だと思われます。



また、通常より奥行きの深いレンガの隙間はヒナのよい隠れ場所にもなっていました。
・下段営巣地内の草むしり作業を行いました。



4月中に企業CSRを利用した草むしりも行っています。
コアジサシの飛来数が違うので単純には比較できませんが、
草むしりを行わなかった2013年度には、
下段での営巣は11巣しかありませんでした。
この年の総営巣数は144巣でしたので、
総営巣数に対する下段営巣地の利用率は7.6%になります。
そして今年は、
下段での営巣数は182巣、総営巣数に対する利用率は11.8%でした。
明らかに利用率が高くなっていると思われます。
草むしり作業はコアジサシの営巣に有効なようです。
来年も徹底的に草むしりを行おうと考えています。
保護整備部会では、
営巣調査や普段の観察などで、感じたり分かったりしたことを整備作業にフィードバックしています。
また整備作業で行ったことを、調査や観察で確認検証しています。
来年春の森ケ崎水再生センター屋上営巣地整備作業への皆さまのご参加をお待ちしています。
整備作業予定やボランティアさん募集告知などは、
年が改まりましたら発表させていただきます。
よろしくお願いいたします。
保護整備部会