NPO法人リトルターン・プロジェクト

東京都大田区昭和島にある都下水道局森ヶ崎水再生センター施設屋上に、東京都、大田区、NPO法人リトルターン・プロジェクトの3者協同で整備している人工営巣地でコアジサシ保護活動を行っています。活動の様子などをご覧ください。記事上の画像、図式などの無断使用をお断りします。

7月12日(土)森ヶ崎屋上営巣地 第9回営巣調査

皆さま
本格的な夏が来たような1日でしたね
台風の襲来に備えていやがらすを低くしていました



大田区では風雨がそれほど強くなることはありませんでした
おかげさまで大きな被害もなく強風で羽が外れていたりスプリングがねじれてからまっているくらいでした
羽とからまりを直しいやがらすの高さを高く戻しました
いやがらすに守られて今日も多くのヒナが誕生していました




今日の調査もヒナへの影響を考慮して午後から行われました
調査初参加の方が数名いらっしゃいましたので



調査前にリーダーのプチ講習会が開かれました
その後13:30に集合して調査開始



1班2班に分かれてまずは営巣数の少ない下段コンクリートガラ区画から歩いて調査をしました



今日も新規の営巣を確認しています



わかりますか?巣の中に生まれ立てのヒナがいます



少し大きなヒナも確認できました
下段コンクリートガラ区画は「いやがらす連」によって完全にカラスから守られているようでした



2週間見落とされていたコチドリの新規営巣が確認できましたが
無事に2羽のヒナの誕生を迎えていました
これも思わぬいやがらす効果の現れだと思っています
今日一日の観察中にカラスが侵入することはありませんでした



下段終了後は営巣数の多い上段部を歩いて調査しました
その結果
コアジサシの新規営巣が57巣 既存が269巣 合計326巣確認できました
コチドリの新規営巣が1巣 既存が0巣 合計1巣確認できました
シロチドリの新規営巣が2巣 既存が1巣 合計3巣確認できました
幼鳥は営巣地の外へ移動したようで大きく数を減らして20〜30羽程でした
成鳥も450羽ほどに数を減らしていました
森ヶ崎屋上営巣地でのコアジサシの営巣のピークは過ぎたようです
営巣数から考えるともう少し成鳥がいても良いのですが
成鳥の数から考えると既存の営巣の中に放棄されているものが多く含まれていると思われました
上段部でも多くのヒナの誕生を迎えていました



ついさっき生まれたであろうヒナも確認しています
今日生まれたヒナが50〜60羽、少し大きなヒナも同じくらいいるようでした
生まれるヒナがあれば



今年の極端な天候の影響でしょうか?
シェルターに避難をしたのだけれども残念ながら命を落とすヒナもいます
今年は営巣が多いから余計にかもしれませんが生まれたヒナが全て大きく育つ訳ではありません
生まれても育つことなくそのまま死んでしまうヒナや捕食者によって捕食されてしまうヒナがいます
カラスによる被害は抑えられていますが
今日の観察、調査中も何回かのチョウゲンボウの侵入がありヒナを連れ去られています
営巣地内のあちらこちらにヒナの食痕が残されていたりします
調査中にハヤブサの侵入もあり親鳥を捕られてしまいました
これらの捕食者に対してコアジサシも懸命にモビングをしていますが毎回追い出しに成功するわけではありません
弱肉強食の自然界の掟がそこにはあります
コアジサシも多くの小魚を食べて命をつないでいますので
ピラミッドの底辺から頂点までの生物の多様性が自然界のバランスを保って行く上で最も重要なのだと認識させられます
カラスも本来の自然界のバランスに生きている数であれば
カラス除けなどを設置する必要もないのですが
考えさせられますね


おまけその1



カラスの侵入が少なくなった関係か
イワツバメの営巣が何年振りかで確認されていましたが
本日3羽のヒナの誕生を確認しました
親鳥が飛び去った後に可愛く大きく開いた口が3つ並んでいました
おまけその2



動物鳴きまねでおなじみの愛鳥家でもおられるE.N師匠が森ヶ崎屋上営巣地を訪ねて下さいました
師匠お忙しい中お越しいただきありがとうございました
髭面燕鴎