NPO法人リトルターン・プロジェクト

東京都大田区昭和島にある都下水道局森ヶ崎水再生センター施設屋上に、東京都、大田区、NPO法人リトルターン・プロジェクトの3者協同で整備している人工営巣地でコアジサシ保護活動を行っています。活動の様子などをご覧ください。記事上の画像、図式などの無断使用をお断りします。

2022年 営巣調査結果まとめ

みなさま

遅くなりましたが、2022年の営巣調査結果のまとめです。

今年は3年ぶりに営巣調査ボランティア募集を行いました。5/7から8/27まで、全17回の営巣調査を実施し、LTPスタッフ含め、延べ263名の方にご参加いただきました。なかなかコアジサシが増えない、営巣しない、ヒナが生まれない中、ご協力ありがとうございました。

初めて参加の方には3回の調査参加をお願いしていますが、都合により3回参加出来なかった方は、残りはぜひ来年の調査に参加していただければと思います。

今年のコアジサシの営巣調査結果を図表にしました。

2022年営巣調査結果のグラフ

2022年の営巣調査結果の表

2022年は、ここ数年の傾向と同様に、コアジサシは飛来しているが数が増えず、産卵しても捕食され、巣もなかなか増えない、という状況でした。しかし、5月下旬になると、成鳥が増えました。おそらく他の場所(葛西や千葉?)で営巣を諦めて引っ越してきたと思われるコアジサシだと思います。

成鳥が増えると、巣もでき始めました。このまま順調に巣も増えていくかと思いましたが、営巣調査で確認した卵が、翌日にはほぼ全て捕食されているということがわかりました。

日中の調査では、卵を捕食するカラスを時々見かけましたが、それほどカラスの数も営巣地への侵入頻度も多くないようなのに、わずか1日で卵が全滅という状況を考えると、他にも捕食者がいるのではないかと考えました。

そこで、センサーカメラを設置してみたところ、以前から疑惑のあったハクビシンが営巣地内に侵入していることがわかりました。さらに後日、アライグマも確認されました。森ヶ崎で、この外来哺乳類2種がコアジサシの卵を食べた証拠はまだ確認していませんが、どちらも雑食性で、おそらく、卵を食べていたのではないかと思います。

そんな中、6月下旬にさらに成鳥の個体数が増え、巣も急増し、なんとか7/23にヒナを確認することができました。すると、今年はあまり姿を見ていなかったチョウゲンボウが飛来するようになり、やはりヒナは捕食されてしまったようです。結果、2022年は、無事に森ヶ崎から巣立ったコアジサシの幼鳥は3羽と推定しました。

 

2022年の結果としては、

成鳥最大数:100羽

総営巣数:124巣

ふ化数:17羽(推定)

無事に巣立った幼鳥:3羽(推定)

となりました。

現在もハクビシン、アライグマ対策のため、センサーカメラを駆使いて侵入経路の特定を行なっています。来年までにできる範囲で対策していこうと思います。

 

これまでの総営巣数、推定ふ化数の経年変化を以下に示します。

経年変化のグラフ

激減傾向でしょうか。。。今年は関東各地で少ない、営巣が遅い、という話を聞きました。来年が不安です。。。

ところで、下の写真は先日のデコイ回収の様子です。

洗ったデコイを干してます。

デコイの数は約800。コアジサシよりぜんぜん多いじゃん。もしかして、今年の関東の全コアジサシよりも多いのでは??

デコイよりも多いコアジサシがきてくれると良いのですが。。。

 

コアジサシ以外では、森ヶ崎ではシロチドリが数年ぶりに営巣し、ヒナも確認できました。シロチドリもコアジサシと同じく絶滅危惧種です。こちらは良い結果でした。

 

リトルターン・プロジェクトでは、一緒にコアジサシ保全活動をしてくれる仲間を募集しています!興味ある方はぜひ正会員に入会して、営巣地整備や営巣調査に参加してみませんか!?

 

調査リーダー