残暑お見舞い申し上げます。
立秋 末候 「蒙霧升降 (ふかききりまとう、もうむしょうこうす)」
まだまだ暑い日が続きますが朝夕だいぶしのぎやすくなり、夜などは蝉からコオロギなどの虫の声にかわって来ています。
森ヶ崎屋上営巣地ではまだやっと幼鳥が飛び始めたところですが、酒匂川や利根川流域、千葉と茨城の海岸線などではすでに子育てを終えて営巣地を離れています。
東京湾奥の船橋三番瀬海浜公園干潟に秋の渡り前のコアジサシが集まります。
朝、干潟に着いた時にはコアジサシが見られず、3日前にコアジサシ23羽の情報があったので、すでに旅立ってしまったのかと思っていました。
干潟の鳥を見ながら潮が引くのに合わせて沖へと移動しながらコアジサシを探していると、沖を飛ぶコアジサシ100羽ほどの群れを見つけました。飛ぶ群れを観察していると陸の方からコアジサシの声が聴こえて来ました。干潟の上を飛んでいるコアジサシ親子を見つけました。
この後親鳥が小魚を獲り幼鳥に与えました。親鳥と同じ大きさになって飛べますが、まだ自分で餌を獲れないので、親鳥に甘えて餌をもらっています。この時期はほぼマンツーマンで面倒をみているようです。
潮が引くのに合わせて干潟を外に出て観察していると、沖合の海上を飛ぶコアジサシの数が段々と増えていました。やがて、波打ち際の干潟に降りるようになりました。ただ、じっと降りてくつろぐことは無く、落ち着かずにすぐに飛んでしまいます。カイトサーフィンが海上を飛び、多くの潮干狩りの人が干潟にいたのが、影響したのかもしれません。
それでも、大潮干潮で現れた干潟の一番外側にようやく降りた300羽のコアジサシを観察することが出来ました。
降りていた時間は本当に短く、すぐにまた飛び立ち、三番瀬の東側の端の防泥堤の上に遠く飛び去ってしまいました。
後ろから声が聴こえて振り返ると親子の姿を確認出来ました。
この日確認できたのはコアジサシ302羽、その中にいた幼鳥はわずかに5羽だけでした。見落としもあるかもしれませんので、幼鳥はもう少しいたかもしれません。
一般的に鳥が個体群を維持するのに必要な繁殖成功率は6割と言われています。コアジサシが約300羽、その6割というと180羽の幼鳥がいないといけません。ところが実際にはわずかに5羽、繁殖成功率は1割にも届きません。
コアジサシのために何が出来るのか?何をすべきなのか?保護活動は新たなステージを迎えようとしています。
髭面燕鷗