NPO法人リトルターン・プロジェクト

東京都大田区昭和島にある都下水道局森ヶ崎水再生センター施設屋上に、東京都、大田区、NPO法人リトルターン・プロジェクトの3者協同で整備している人工営巣地でコアジサシ保護活動を行っています。活動の様子などをご覧ください。記事上の画像、図式などの無断使用をお断りします。

森ヶ崎水再生センター屋上営巣地春の整備作業について


・企画趣旨
 コアジサシはチドリ目カモメ科の小型の夏鳥であり、日本へは繁殖のために渡来しています。近年では砂浜や玉砂利河原等の自然の営巣地が減少したり、外敵による捕食被害等のさまざまな要因で生息数を減らし、環境省の絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
その絶滅に瀕しているコアジサシ保全するために、安全な営巣地としての東京都下水道局森ヶ崎水再生センター東施設屋上営巣地を整備しています。
東京湾内でのコアジサシの営巣地は数少なく、森ヶ崎屋上は最後の砦と言っても良い重要な場所になっていると言っても決して過言ではありません。
2001年に初めて屋上での営巣が確認されてから今年で17年目になります。この間草が繁茂して営巣地として適さなくなったり、カラスやチョウゲンボウなどの捕食によりヒナが巣立たない年もありましたが、毎年コアジサシが帰って来ています。16年連続利用されている営巣地は大変珍しいのではないでしょうか?多い年では2003年の4,000羽、一昨年の2015年の2,000羽、昨年も1,500羽のコアジサシが子育てをしています。
昨年までの総営巣数は9,885巣、そこから産まれたヒナは累計で8,668羽(推定)になります。
コアジサシは浮気な鳥で繁殖地を頻繁に変えると言われていますが、その理由の一つに撹乱が起きた場所を好んで選んでいるかもしれない。ということが言われています。一度洪水や大水などで撹乱の起きた場所は、しばらくは安定した裸地状態になっていることをコアジサシは経験から知っているのではないでしょうか?
森ヶ崎屋上営巣地を毎年コアジサシが選んでくれているのには、そういった撹乱状態を人工的に作り出す作業を行ったり、コアジサシを呼ぶためにデコイを設置したりコアジサシの声を流したりしていることが考えられます。
その重要な作業の一つが毎年3月末に行っている森ヶ崎水再生センター屋上コアジサシ営巣地春の整備作業になります。
・作業内容(作業優先順)
1.通路・排水口周り清掃作業


営巣地外周通路及び排水口周りには、雨で流されてたまった土砂などが堆積しています。
このままでは、雨天時に排水口が詰まって雨水が溜まり営巣地が冠水してしまい、
大事な卵が水に浸かってしまう可能性があります。
排水口をきれいにし、通路の土砂やごみを取り除いてきれいにする必要があります。
きれいにした通路はまるで雨で洗い流されたようで、これも人工の攪乱状態になります。


外周通路上に散乱している貝殻は、ふるいでふるって貝殻を営巣地内に戻します。

*掃除で発生した土砂などは、
一輪車で運搬をして、下段営巣地のスラジライト区画内に集積します。
2.カラス除け修復作業

外周ウォール上にカラスが止まりにくいように、鳥除けの糸を張っています。
昨年カラス除けの「いやがらす連」を設置した部分等、糸が切れてしまっている部分に鳥除けの糸を結び直します。

ウォール上にズラッとカラスが並んで、次から次と営巣地内に侵入して、卵やヒナを盗られられないために必要な作業です。
3.貝殻撒き作業

屋上営巣地には地面色を白く見せる為に、貝殻を撒いています。
貝殻は千葉県富津市で養殖されているバカガイで、富津市水産加工業協同組合様から格安でお譲りいただいています。


昨年度空港側区画内に撒いた残りがありますので、
上段部砂利営巣地内の貝殻が風などで飛散し薄くなってしまった区画内に追加で上撒きをして、白く化粧をします。
コアジサシが空から見た時に撹乱が起きたかのように見えるための作業になります。
*作業区画は別途指示いたします。
4.草むしり作業・草刈り作業後の清掃作業


下段部コンクリートガラ区画内の草むしり作業を行います。
コアジサシは草などの生えていない裸地環境を好みますので、区画内に生えている草を、忍者熊手や除草ガマなどを使用して根から抜き取ります。抜き取った草は土をよくふるい落としてゴミ袋に入れてください。
*草ゴミは燃えるゴミとして処分いたしますので、できるだけ土を落としてから袋に入れて下さい。

下段部草地区画内を肩掛け式刈り払い機で、スタッフが草刈り作業を行います。
草地以外にも草丈が高くて草がひどい箇所は草刈りをします。

刈り終わった区画内の草ゴミを竹熊手で掃除をして集めて袋詰めします。
*草地ではヒバリが営巣したり、昨年はカルガモも営巣しました。
5.注意事項
コアジサシの営巣地があるのは、昭和島にある森ヶ崎水再生センターの東施設です。
東京モノレール昭和島駅が最寄です。
大森、蒲田からバス便がある労災病院近くの西施設ではありませんので、ご注意してください。
東京都下水道局森ヶ崎水再生センターは、普段は立入禁止の場所で、一般の方の立ち入りが制限されています。リトルターン・プロジェクトのイベント時のみ入ることが出来ます。
・危険個所など多数ありますので、受付場所周辺及び屋上営巣地とトイレの許可された場所以外の所には立ち入ることはできません。
・森ヶ崎水再生センター内は火気厳禁です。喫煙される場合には指定場所でお願いいたします。
*下水処理工程でメタンガスなどの可燃性ガスが発生しているため。
・作業中のケガなどに備えて保険にご加入いただきます。(1人1日50円)
・体調不良などのために途中で帰る場合は、最寄りのスタッフにお声掛けください、出口まで同行しお送りいたします。
・途中退所すると再入所はできません。
・構内及び周辺に売店などはありませんので必ずお弁当・飲み物等をご持参してください
・ゴミは各自でお持ち帰りください
悪天候中止の連絡は、前日20:00までに当ブログにて「中止/実施」の掲示をいたします。(携帯からも見られます。)
保護整備部会